誰でも手軽に作れるイメージのおむすびですが、なかなか理想のふっくら感が出せないという方も多いのではないでしょうか? そこで、まずはおいしいおむすびを作る基本をお米の選び方からご紹介します。
おいしいおむすびの条件は、適度に空気を含み、ふんわりとした粘りと粒を感じられるものとされています。また、お弁当や行楽など持ち歩くことが多いため、「冷めてもおいしい」ことも大切。その意味では、もっちりとした食感を生み出すでんぷん質を豊富に含み、冷めても甘みがしっかりある品質のお米が適しているといえるでしょう。
北海道ゆめぴりか
産地での厳しい基準をクリアした北海道が誇るブランド米「ゆめぴりか」。その最大の特徴は、粘りの強さにあります。でんぷんの分子であるアミロース含有率が他のお米よりも低いため、炊き上がりがやわらかくモチモチ系の食べごたえのある食感で、豊かな甘味が際立つおむすびにピッタリなお米です。
軽く洗って水を捨てる
内釜を傷めないようボウルなどを使って洗います。お米を入れたら、米に糠(ヌカ)の臭みが移るのを防ぐため、最初の水はすぐに捨てます。その後もたっぷりの水で数回、軽く混ぜるように手早く洗いましょう。水を換えるのは多くても3回まで。少し白濁しているぐらいでOKです。
水加減を減らして炊く
普通のごはんと同じ水加減だと、やわらかすぎてにぎったときにお米の粒が潰れてしまうため、水を減らして少し硬めに炊くのがポイント。減らす水の量の目安は「1合につき、大さじ1杯程度」です。
炊き上がったらすぐにごはんをほぐしましょう。ほぐし方は、しゃもじで釜の底から掘り起こすようにふんわりと、ごはん粒を潰さないように気をつけて。まんべんなく返すことで余分な水分が抜けて、ふっくらごはんに仕上がります。
おむすび1個分の半量のごはんをラップに広げ、具材を中央にのせる
具材にフタをするように、
残りの半量のごはんをかぶせる
形を整えるぐらいの目安で
ふんわりとやわらかくにぎる
ラップを外し、おむすびの
表と裏に軽く塩をまぶす
海苔を巻く。空気を含んだ、ふんわり食感のおむすびが完成!
ごはんの量は、おむすび1個につき、「お茶碗1杯」が目安。また、おむすびの海苔は、パリパリ派としっとり派に分かれますが、パリパリ派の方は食べる直前に巻きましょう。海苔をコンロで炙ると、さらにおいしくなりますよ。
おむすびの歴史
日本人のソウルフードであるおむすびは、一体、いつから食べられていたのでしょうか? その起源やいわれには諸説ありますが、最古は弥生時代までさかのぼると言われています。昭和62(1987)年、石川県中能登町にある「杉谷チャノバタケ遺跡」の竪穴式住居跡から、真っ黒に炭化した手のひら大の円錐形の塊が出土されました。これが蒸した米でできた日本で最も古い「おにぎりの化石※」であることがわかったのです。 また、平安時代に貴族が従者たちに振る舞った卵型の「屯食(とんじき)」が元という説もあります。その後、戦国時代の握り飯を経て、現在のような海苔に巻かれたおむすびが出回ったのは江戸時代中期、元禄の頃のこと。江戸の主要な交通路・五街道が整備されてからはお弁当としても重宝され、旅人の携行食や農民が農作業の合間に食すものとして広まっていきました。
※この遺跡から出土された日本最古の「チマキ状炭化米」(愛称「おにぎり」)のこと。
※由来には諸説あります。